投資は将来のための消費

投資は将来のための消費

経済は、消費者の消費動向に大きく左右されます。

最終的に景気がどうなるのかは、消費次第とも考えていいと思います。

経済全体の6割弱を占める「消費」

消費は経済に対して極めて大きな影響力を持っているわけですが、

その規模が大きいがゆえにで、動きが鈍いという特徴があります。

 

消費は巨大な山のような存在であり、そうそう簡単には増えたり減ったりしないのです。

このことは、自身の周辺の支出を考えると簡単に理解できると思います。

 

消費の中には、生活をしていく上で、

「どうしても支出しなければならないものそうでないもの」に分かれます。

 

日々の生活に欠かせない衣類や食品などは、

景気の動向にかかわらず、一定金額を支出しなければなりません。

 

エンゲル係数 とは

エンゲル係数は、家計の支出に占める食費の割合を示したもので、

社会の豊かさ、貧しさを反映するといわれています

 

その理由は、食費は大きく削ったりすることができないものだからです。

家計の収入が落ちても食費は極端に減らせませんから、

家計の支出に対する食費の割合は上がってくることになります。

 

一方、高価な時計や海外旅行などは、

何かの記念や自分へのご褒美といったタイミングで支出することも多く、

日常的なものではありません。

 


こうした高額の支出は、

景気の動向に大きく左右されることになります。

 

ボーナスをたくさんもらった年は多く支出するかもしれませんが、

ボーナスが減らされた年はかなりの節約モードになっているでしょう。

 
 

消費が弱いというのは経済にとって赤信号

多くの人にとって、働いて稼いだ額のかなりの割合が、

基礎的な消費に消えているはずです。

 

お金が余っているような富裕層は少ないですから、経済全体で考えると、

消費のほとんどは基礎的な消費ということになります。

 

したがってこうした消費は短期間で大きく上下変動する事はありません。

消費が巨大な山のような存在といったのはそのような意味です。

 

逆にいうと、景気の先行きが非常に悪い状況になると、

人々はこうした基礎的な消費すら控えるようになってきます。

 

そうなってくると、経済へのマイナスは計り知れません。

つまり消費が落ち込むような状況になった時には、景気の動向はかなり深刻と見て良いでしょう。

 

基本的な支出が大きいということは、基本的な需要が大きいということであり、

それを満たす豊富な製品やサービスが存在することを意味しています。

 

このように消費というのは経済の根幹をなす重要な支出項目です。

経済を分析する時には、まず、消費の動向がどのようになっているのか調べることが重要となります。

消費と投資を考える

消費はその場で消えてしまう支出ですが、投資はそうではありません。

投資によって作られた工場や店舗は、

数年から長い場合には十数年にわたって富を生み出します。

 


つまり、投資は何かの効用を得るための支出ではなく、

将来お金を稼ぐための支出ですから、投資が行われるのかどうかは、

景気の見通しに大きく左右されます。

 

 

経済の分析において設備投資の状況が重視されるのはこのような理由からです。

 

 

経営者は景気の動向を見ながら設備投資の水準を決める

投資はお金を生み出すための支出ですが、

投資は多ければ多いほどよいというほど単純ではありません。

 

設備投資は先行投資ですから、失敗すると企業にとっては大きな損失となります。

 

投資をしすぎると、製品やサービスが余ってしまい、

企業は儲からなくなってしまうでしょう。

 

経済全体で見た場合には、需要に対して供給過剰の状態になってしまいます。

 

 

逆に、投資が少ないと、せっかく稼げるチャンスなのに、

肝心の製品やサービスを提供できず、やはり企業は儲かりません。

経済全体では供給不足という状態です。

 

このため企業の経営者は、最適な投資水準になるよう、

景気動向を気にしながら設備投資の額を決めていきます。

 

景気が拡大していて、今後も需要が増えると多くの人が予想している状況では、

設備投資の金額も自然と増えていきます。

 

逆に経済が縮小すると多くの人が考えている状況では、

企業の経営者はなかなか設備投資を決断しません。

 

ここ10年、日本は設備投資が伸びないという状況が続いてきました。

その理由は、企業経営者のほとんどが、日本経済の将来に対して明るい見通しを持っていないからです。

 

人々のマインドも重要な役割を果たしている

こうした状況を変える目的で実施されたのが、日銀による量的緩和策でした。

量的緩和策とは、中央銀行である日銀が大量の国債を買い取り、

市中にお金をたくさん供給するという政策です。

 

市中に大量にマネーが提供されると、お金が余り気味となります。

お金がたくさん余っていると、

高い金利を払ってお金を借りる人が少なくなりますから、金利が下がります。

 

金利が下がると今度は逆にお金が借りやすくなり、

企業は設備投資を増やし始めます。

 

これによって景気が拡大するというメカニズムです。

 

また日銀が大量に紙幣を刷れば将来、

インフレになるのではないかと多くの人が考えます。

 

そうなると物価が上がる前に、

銀行からお金を借りて設備投資をしようという企業が増えますから、

やはり設備投資の伸びが期待できます。

 

量的緩和策を実施した当初は、円安が進み、物価も上昇しましたが、

その後は物価上昇は鈍化し、結果的に設備投資もあまり伸びませんでした。

 

経済学において設備投資が伸びるメカニズムや物価との関係は後ほど説明しますが、

設備投資を増やすというのは、口でいうほど簡単ではありません。

 

経済は人が動かしていますから、人が持っているマインドに大きく影響されてしまうのです。